2013年07月27日

北京出張してきました。

ブログに新着情報がなく寂しく思われていた方もいらしたかも知れませんが、
(えっ?そう言ってるのは自分だけ?)
今週、私はずっと北京出張に出ておりました。

へ〜っ、北京と思われるかも知れませんが、ヨシムラの方では中国縫製は取り扱っていませんが、ビッグヴィジョンでは廉価な商品については中国縫製で仕立てています。
このため、縫製が中国なら生地の方も中国で手配するのが物流的にも適切ですから、今回はその仕入れのための出張でした。

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どれだけの量を仕入れるかというと、その量なんと!45,000m

そう45km分もの生地を仕入れているのです。

これでだいたい13,000〜14,000着分の長さですが、結構な量ですよね〜
自分でも売り切る自信がありません。(笑

それはさておき、読者の皆さんは中国で織った生地の実力はどれ位だと思いますか?

中国だからたいした事無いんだろう?やはり日本が一番さ!なんて思う方が殆どだと思います。

でも、意外や意外!実力はもう結構逆転している部分もあり、あなどれない存在だと思います。

ですから、ここでは中国の実力を皆さんに紹介しますと・・・

■ 中国製品の弱点 ■

日本の2−4万円位で販売される商品の中では正直あまり弱点はありません
ただ、強いて挙げるのでしたら、中国はコモディティー(汎用品)は強く、特殊な物には弱いところでしょうか?

つまり、大量に販売する物の色柄は全く問題なしです。

でも、ファッションは人と違った事をするのが楽しみでもあり、一般的でない素材や織りなどは数が揃わないからやらない(=できない)と言うことが多く、
当社の取引メーカーで言えば、夏物のモヘヤなどは嗜好品だから大量に売れないし、取り扱いが面倒だからやらない(=できない)となっています。

■ 中国製品の長所 ■

意外に思うかも知れませんが、廉価品の色柄については国産よりコストパフォーマンスが高いと思います。
・・・というのは、生地にはウール100%とは表記してあっても実際にはストライプ部分は発色の良いポリエステル原毛を使っているケースがあります。

こういったオールウールのポリエステル混紡の生地は、意図の収縮率の関係から中国製品は苦手です。

ではどうするか?というと、例えばウール70%、ポリエステル30%とかにして全体のウール量を減らし、ポリエステルの量を増やして物性的な安定を図ります。

そしてこれはコスト面ではウールの方が高いですからコストを下げつつ、綺麗な色柄の生地が出来て、こういったコストダウンは中国が一番得意ですから、概して安いスーツの色柄は意外と良いという結果につながるのです。

ちょっと分かりづらい説明でしたかねぇ?

■ 中国製品が?なところ ■

↑中国生地の長所短所を書きましたが、実は見落としがちなことで1つ重要なことが抜けています。
それは、、、日本人が持つ中国製品へのイメージがあると思います。

・・・というのは、実のところ今の中国では生地を織るという点に限定して言えば、最新の織機は日本よりも中国の方が数多くある訳ですから、生地を織るのは場合によっては日本より上です。

ですから、Super150'Sでも180'Sでも問題なく織れます。

ただ、問題は『どうせ中国製品は品質が悪い・・・』という日本人が持つ先入観が問題なのです。

つまり、「中国製品が?」なのは日本人が中国製品に持つイメージが“安かろう悪かろう”だから良い物を作っても売れない → だから作らないということが多いのです。

実際このことは、生地を織るという点ではまさしくその通りだと思います。

だって、自動織機で生地を織るときには人間が介在するのは糸を補充したり準備したりするところだけなんですから。
(その他には染色など水質が関係する点での差はありますが、最近は水質改善装置も大抵はありますからね。)

とはいえ、縫製の技術など人の手が入るところでは日本と中国には厳然とした技術格差があるのも事実で、この辺は皆さんの想像の通りですし、これはビッグヴィジョンだからブランドのどこどこだからといったことは余りないと思います。

まぁ、いろいろです。

いろんなことが大量に起こっているのが中国で、良い物をこだわり作っているのが日本。
良い物をこだわるのは美徳だけれど、数の論理には敵わないでしょ!というのが中国の論理なのです。

この日中の違いはどこの業界でも同じかも知れませんね。(笑

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画像は時間のあるときに寄った天安門(いつ行ってもデカイ!)
posted by オーダースーツのヨシムラ at 13:48| Comment(2) | 仕事(仕入) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
織機が同じ限り、どの国でも同じクオリティの服地を織ることが
できると思います。ですが、色使いのセンスは、その国の文化
によると思います。40年近く人民服を着ていた国が、
鮮やかな色遣いの服地を織れるのでしょうか?
無難な色、70点の生地は織れると思いますが、
付加価値の高い生地は正直難しいでしょう。
Posted by 運河の住人 at 2013年07月30日 23:11
書き込みありがとうございました。

運河の住人さんが言われるのはもっともだと思いますが、実際中国の現場を見ていますと、一概にそうとは言えないと思います。
運河の住人さんは70点と言われましたが、これは70点合格みたいな感覚だと思います。
合格点の中の下のラインという意ではないでしょうか?

確かに伊ロロピアーナやゼニアのような艶気・色気は不足しますが、これらが90点だとすれば、日本のメーカーはせいぜい80点が良いところでしょう。

でも、それ(日本製)に限りなく近いと思います。
(欧州系インポート商品を見ていますと、平均的な日本製生地の色柄もそれほど良いと思えませんから。)

ただ、日本で流通する中国製品はコスト意識の強い(強すぎる)コモディティー的な物が多く、それだけコストを追求すれば自ずと注意を払う先が変わるというところでしょうか。

中国製品でもちゃんとお金を出せば侮れない存在だと思います。
Posted by 吉村 at 2013年07月31日 07:50
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