ヨシムラの方は店舗が1つ(神田)ですからその気になればいつでも出来るのですが、ビッグヴィジョンでは店舗が多数あり、スタッフも分散しているため、普段はなかなか勉強会など出来ません。
だからこそ、閑散期に集中して行うのですが、この日は体型補正の勉強会でした。
読者の皆さんは体型補正って、どんなことかご存知でしょうか?
それは・・・
人の身体は千差万別です。
よく言われるのは、猫背とかなで肩・いかり肩ですが、スーツはこの人の体型に合わせて補正をしなければ、ジャストフィットしたスーツにはなりません。
この点、既製服はサイズだけ合わせて、体型補正は諦めてもらう事で安価に素早く提供できるから良いのですが、私共オーダースーツはスーツを身体に合わせてナンボですから、これが仕事の上でのキモになって来る訳です。
でも、残念ながらオーダースーツ業界を見渡すと、これをしっかりやっているお店って本当に少ないです。
例えば、有名なAテーラーですら、この辺は全然力を入れていませんし、逆に最近はオーダーは面倒だから、既製で売った方が楽と言わんばかりにプレタ(既製品)を店頭に出している始末。
特に、急拡大している店舗などは要注意です。
何故なら、オーダーのキモである体型補正は、奥が深く一朝一夕で人材教育なんて出来ないからです。
ヨシムラのお客様ならお分かり頂けると思いますが、ヨシムラもお陰さまでこの15年で大きく成長させて頂きました。
でも店舗は東京・大阪1店舗ずつです。
何故か?
それは高度なスキルを持ったスタッフを育てるには時間がかかるからで、それが満足いく水準に達していないから店を出せなかったのです。
こう考えるとヨシムラはどこかの偏屈親父が経営する料理屋さんみたいですが、私はそれだけ重要なことだと考えています。
一方、ビッグヴィジョンの方は既に30店近く店を構えていますから、減らす訳にいきませんから、今必死になって専門知識を植えつけているのです。
この点、教育面ではヨシムラのスタッフ(特に型紙引きから裁断、縫製まで行える福田君、中島氏、職人イ君)には大変助かっています。
因みに、この日は体型補正勉強会の中級編ということで、応用編をやりました。
体型補正の基本には、反身・屈伸、なで肩・いかり肩、はと胸・胸厚体、猫背などがありますが、これらは複雑に絡み合ってスーツ表面に表れます。
例えば、反身体というのは若い方や太った方にありがちな体型ですが、身体が後方に反った体型。
ちょうど普通の体型の人なら胸を張ってちょっと威張った感じに立つとそんな体型になります。
この場合、胸を張る分、上着は前裾が上がってしまったり、ストライプの線がまっすぐ落ちずV字型に表れたり、背中ではツキジワが出たりします。
この辺は、まぁ、ちょっと業界にいればすぐ分かることですが、この日の勉強は第2反身体という特殊体型。
これはS字体型とも呼ばれ、年配の方に多く、身体がSの字に湾曲していて背筋(背骨)は反身体で反っているけれど、胸から上は逆に前屈みの屈伸体になっているという反身なのか屈伸なのか分かりにくく、補正指示が非常に難しい体型を勉強しました。
ビッグヴィジョンのスタッフも、これまで全く勉強してこなかった訳ではありません。
数々のお客様をこなし、現場からのたたき上げの知識は十分にありますが、これにフルオーダー技術者が理論を加えて説明すると、これまでの悩みが一気に解決!
・・・とまで簡単には行きませんでしたが、大変勉強になったこの日の勉強会でした。
ビッグヴィジョンスタッフの目(真剣な目、好奇心のある目、盗み取ろうとする目)が印象的でした。
いつもビッグヴィジョン大阪店さんをご利用させて頂いているのですが、ヨシムラさんの店長南浦さんにいつも丁寧に採寸等して頂いているので、体型補正もして頂いていると思います。
今回も10月上旬完成予定でスーツとシャツをオーダーしていますので、出来上がりがとても楽しみです♪
勉強会という点では大阪店は地理的になかなか難しいのですが、年2回のオーダー会等を通じて、フルオーダー的な対応や、それを如何にイージーオーダーへ反映させるかなど、時間を見て研修しています。
南浦店長のポテンシャルは高いですが、この道30、40年のベテランもいますから。。。
もちろんこれらは新しく開店したドージマ店スタッフにも伝えられていくことになると思います。