今日は青森工場・秋田工場からマネージャーが東京まで出張に来ていたため、久しぶりに工場スタッフと経営面についてじっくり話が出来ました。
読者の皆さんは縫製工場ってどんなイメージがあるでしょうか?
・・・きっと想像付かないでしょうね、、、
なので、ちょっとブログで取り上げてみたいと思いますが、縫製工場の経営は至ってシンプルです。
売上は工賃×数量 これだけ。
個別のお客様の仕様(難易度)によって多少の工賃格差はありますが、基本は工賃×数量で決まります。
一方、経費はというと、、、通常の物販と比べますとまず圧倒的に家賃がかからない。(そう、田舎に立地していますからね。)
また、ある程度社歴のある工場ですと、建物付属設備やミシン類などの減価償却費もある程度こなれています。
・・・ということは経費の最大の項目は >>> 人件費 なのです。
つまり、人件費が上がるとアッという間に収益環境が悪化してしまうのです。
また、縫製工場ならではの特殊要因としては生産数量は従業員の頭数で決まってしまうため、よくいう機械化によって従業員数は変わらないけど生産数量は大幅増した!なんてことが出来ない産業なのです。
(つまり、生産数量は従業員数に比例してしまうということです。)
という、前置きの中、さて、アベノミクスで年率2%で賃金が上がったらどうなるでしょうか?
1.02×1.02×1.02=1.061
そう、この3年間で6%も人件費が上昇しているのです。
では、工場経営としてはどうしなくてはいけないか?
読者の皆さんもお分かりかと思いますが、そう、工賃を上げるしか手立てがありません。(数量は劇的には増やせませんから)
ですが、実の所、田舎の下請け工場は、これまでバブル崩壊以降の失われた20-25年で元請に対して値上げを申し出るなんて事は恐れ多くて出来ませんでした。
そこで多くの工場経営者は、従業員に低賃金(いわゆる各都道府県が決める地域の最低賃金)で泣いてもらっているのが実情ですが、それがここ数年2%以上上昇しているから、もう待ったなしの状況なのです。
私は、ビッグヴィジョンの社長でもありますが、関連縫製工場の社長でもあるため、立場は微妙ですが、
最近、オーダースーツはブームになってきて、昔より良い商品が売れるようになりましたから、品質を上げてもらう代わりに、工賃を引き上げ、縫製工場(とその従業員)にもこれまでの苦労を報い、ブームの恩恵を少しでも受け取ってもらえるようにしたいと考えています。
東京周辺に住む人にとって『「最低」賃金』なんてあまり意識したことはないと思いますが、地方では、時給700円前後の最低賃金で働く工場は本当に沢山あるんですよ。
今日は、工場経営の側でお話をさせて頂きました。
読者の皆さんも、一度「物作りのコスト」について考えてもらえると嬉しいです。
2016年03月30日
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