昭和40年代生まれ以前の人にとって百貨店という言葉は特別な響きがあるのではないでしょうか?
私で言うと、子供の頃よくお袋に連れられて百貨店に行き、お袋はどこか洋服でも買いに行ったのでしょうか?よく覚えていないのですが、母親を待っている間、おもちゃ売り場で遊んだのを良く覚えています。
その後、母親が戻ってきてからは上の階のお好み食堂で、お子様ランチを食べたっけ。
良い思いででした。
その百貨店が今、岐路に立たされています。
どんなことかというと、インターネットの台頭で情報が溢れ、百貨店でなければ手に入らないというものがなくなってしまい、百貨店に魅力がなくなり、お客(売上)が激減しているからです。
それで、全国の百貨店が大リストラを計画しているのです。
百貨店のリストラっていうと、地方都市の小さな百貨店ね?と思う方もいらっしゃると思いますが、さにあらず。
地方の小さなサテライトのような百貨店もそうですが、都心型の百貨店でも最近は自社で全テナントを手当てできず、ユニクロやニトリなどを立地を生かしたテナント貸しを行なっているところが急激に増えてきたのです。
何でこんなに百貨店が凋落したのか?
確かに先述のようなインターネットにより情報の価値が下がったこともありますが、私が思うには百貨店の販売方法に問題があったのではないかと思います。
・・・というのは、ここまで言うと業界人から怒られてしまいますが、百貨店はだいたい売上の40〜45%を自分達の利益にします。
※:業種によって違いますが、ファッション系ではこれぐらいです。
更にいうと、この販売は百貨店の社員が行なわず、出入りの業者が行ないます。(つまり人件費は出入り業者持ちです。)
そう考えるとこの40〜45%という金額はどうでしょうか?高すぎませんか?
だって納入業者は売上の55〜60%から原価、人件費、自らの利益をひねり出さなければなりませんから。
百貨店の紳士服セールで目玉商品は1着25,000円程度。
それから40〜45%の利益を取るとすれば出入り業者は14,000円前後の売上から利益を捻出しなければなりません。
そうなんです。だから百貨店の商品は実は原価を非常に押さえた商品か、売値を高く設定した商品か、出入り業者が泣く(利益が出ない)商品ばかりになってしまうのです。
更に言えば、百貨店は自社の看板を守りたいがために、顧客第一主義という名の元に、消費者からの無体な要望を安易に聞き入れ、それを出入り業者の負担にするということまで平気でするため、出入り業者がどんどん疲弊してしまうのです。
(誤解を恐れずに言いますが、最近はモンスターコンシューマーが現れ、とんでもない要求をするケースが増えているとのことです。
こういったコストは最終的には、真面目な消費者の負担となり、これがまた百貨店の値段が高くなる元凶の1つになっています。)
そんなこんなで良い商品がフェアーバリューで販売されることがなくなり、今の状況に至っているのだと思います。
で、将来的にどうなるか?ですが、今、言われているのは都心型百貨店でも残れるところは都内のターミナルビルで各1店舗。
地方に至っては、全て専門店化してしまうのではないかと思います。
どうしてここまで落ちてしまったのでしょうね・・・
ただ、百貨店の行動をみていると、この状況についてまだまだ認識が甘いと思います。
最近でこそ、業態変更や店舗売却の話が頻繁に出てきますが、どうして出てきたかというと、昨年まではインバウンド消費で業績が良かったから。
今年はそれがなくなってしまったのでいよいよ困り、リストラをしなければならないことになったからです。
インバウンド消費がある内に次に備えて、業務の再構築をすべきなのに。。。
厳しくなってからリストラしても効果はあまり出ないのではないでしょうか?
将来的には、百貨店はごくごく一部を除いてなくなり、アトレとかビブレとかそういう専門店ビルに変わっていくのではないかと思います。
2016年11月15日
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