2018年10月15日

中小テーラーの苦境



今日は縫製工場から見たテーラーの話

何度かこのブログでもご紹介していることですが、最近、大手紳士服チェーン(AOKI・青山・コナカさんなど)のオーダースーツマーケットへの展開、ITベンチャー系新興テーラーの台頭など、オーダースーツマーケットは、既製服からオーダースーツへの流れを汲み、活況を呈しています。

これはオーダースーツを縫製する者として大変ありがたいことで(オーダーの)縫製工場は好調で、実はオーダースーツ販売業以上の恩恵を享受しています。

それは何かというと、販売の方は今の時代ですから仕組みさえあればいくらでも新規に開業できるのに対し、製造(縫製工場)の方は設備や縫製技術の関係から簡単には生産キャパを増やすことが出来ないのです。

実際、オーダーだけでなく既製服を含めた縫製工場というで見れば、海外移転はまだまだ進行していますので、国内の生産規模はまだ縮小を続けていますから、生き残りを賭けて、既製服スーツ縫製工場からオーダースーツ縫製工場へ業態移転を考えている縫製工場は多々あります。
ですが、上記問題からなかなか業態変更が進んでいないのです。

ということで需要に対し供給が追いつかないことが主要因で『オーダースーツ縫製工場』は今、大変ありがたい環境にあります。

⇒だからこそグループ縫製工場は来年に向けて大型投資するんですが・・・

話をタイトルに戻します。

今日はこの主として個人経営の『中小テーラーの苦境』について>お話します。

個人経営のテーラーには大きく分けて2つあります。

1つは、先代からテーラーを引き継いできた生粋のテーラーさん。
>>>この人たちは、先代はハンドメイドのフルオーダーをやり、息子さんはイージーオーダー(EOと言います。縫製工場である程度企画化されたオーダースーツ=青森工場で行っているオーダー)をやっているケースが多いです。

簡単に言うと、年配のお客様はお父さんが仮縫つきのフルオーダーで受けて、その下の世代のお客様を息子さんが、EOで受けるというスタイルです。

こちらは今では、団塊の世代のリタイアでフルオーダーが減り、EO中心になっています。

一方、2つ目は先代を持たずEO一本でオーダースーツマーケットに参加してきた人達。(平成タイプのテーラーとでもいいましょうか?)
>>>ヨシムラは大昔は職人を少し抱えていましたから代々テーラー的な要素もありますが、どちらかというと「オーダースーツのヨシムラ」を開業してからの方が大きいので、後者の扱いになるかも知れません。

そんな平成タイプのテーラーは、技術を社外の縫製工場に頼らざるを得ないため、独自性を出すことが難しいタイプのテーラーです。
(生粋タイプのテーラーは、手縫いの技術で差別化が出来ます。)

さて、
この2つのタイプのテーラーが何故苦境か?ということですが、

それは
1つ目の生粋のテーラータイプ
>>>こちらは団塊の世代がリタイアしていく中で、お客様が減り、また技術者も高齢化によって生産が出来なくなってきて、大変な苦境です。
また2代目による営業も後に話す平成タイプテーラーと同じ理由で苦境に陥っています。

一方、2つ目の平成タイプのテーラーはどうかというと?
こちらも大変な苦境に陥っています。(むしろこちらの方が厳しいか?)
それは、平成タイプは個人の人脈をベースに、小規模テーラーならではのニッチな販売方法が功を奏してこれまで業績を伸ばして来ました。

例えば、裏地や釦をどこからか手配して一品物のド派手な裏地・釦にしたり、ボタンホールの糸色を変えるなどの細かい差別化の積み重ねでファンを作って来ました。

しかしながら(ここで冒頭の話に戻りますが)、近年はオーダースーツ工場に大手メーカーからの依頼が多くなり、縫製工場も生産効率を高めるために『企画化された生産方法』を求めてきているのです。

そうすると、ニッチなところで差別化していた中小テーラーさんはオーダー工場から(簡単に言うと)煙たがられてしまうのです。(つまり企画化されていない物はミスが多くなったり手間が掛かったりと敬遠されがちになるのです。)

彼らは技術を社外の縫製工場に依頼している以上、妥協せざるを得ない立場です。

そうするとどうなるか?
大手の商品と比べ、大差ない商品、つまりはニッチマーケットを狙えない商品になってしまい相対的魅力がなくなってしまうのです。

というのが今の中小テーラーの状況ではないでしょうか?

ところで、この点ヨシムラはどうか?というと2つの面で青森工場で助かっています。

というのは、1つは青森工場が資本関係で繋がっているため、技術を社外に依存といってもグループ内なので協力体制が出来ているからです。

そしてもう1つの理由は、青森工場が元々は県下のテーラー達の組合が設立母体だったため、細かいニッチな仕事を嫌がらない社風があるからです。

今日も業界新聞で、オンリーのオーダースーツが順調だという記事が載っていました。また先日は青山さんがオーダースーツ販売を強化するというNEWSが一般紙にも掲載されていました。

私から見ると、こういった大手はほぼ全てが中国の縫製工場で国内工場には何のメリットもありませんし、品質面でどうなのかな?とも思いますが、これまで小さな池の中に住んでいた金魚としては、大手という大魚がやってきて駆逐されないよう小さなところの良さも活かしつつ頑張りたいと思います。

中小テーラーの皆さんは時代の変化と共にそろそろ次の展開を考える必要があるように思います。



posted by オーダースーツのヨシムラ at 09:52| Comment(0) | 仕事(縫製工場) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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