2019年05月19日

銀河鉄道999

働き方改革この言葉が言われるようになったのは安倍内閣が始まってからだと思いますが、今年ほど“働き方改革”が言われ、かつこれが浸透した年はないのではないかと思います。

私は企業経営者の立場ですからこの働き方改革には消極的と思われても仕方ないのかも知れませんが、今日は思ったところを少しお話したいと思います。

まず現実の話・・・
この働き方改革が企業経営にどのような影響を与えるかといえば、、、
簡単に言うと短期的には思いっきり収益悪化要因です。

特に、当社が関わるような労働集約産業※1においては、有給休暇の強制取得は5日間×従業員数×日当がそのまま減益要因※2となります。
とはいえ、これまで取得を全く認めていない企業というのも少ないでしょうから、実際には2日か3日×従業員数×日当ぐらいと思いますが、例えば当社グループ縫製工場においては従業員数400名×2.5日×日当10,000円=1,000万円分利益がそっくりなくなります

※1:労働集約産業とは機械やITなどではなく、主として人間の肉体労働(人の手)を介して売上を上げるような会社。
※2:減益要因 売上がその分減るのではなく利益がその分減るので企業経営にはより厳しい要因です。

またこれに加えて政府は全国平均の最低賃金を平均1,000円にしたいと言っていますが、例えば青森の現在の最低賃金762円が1000円に上がると238円up
238円×一日労働7.5時間×25日×12ヶ月×400人=2億1400万円です。

現実的には残念ながら東北が全国平均の最低賃金にはならないでしょうから現実的な東北の最低賃金を850円に仮定しても

(850-762円)×7.5時間×25日×12ヶ月×400人=7900万円です。

うぉ〜!利益が吹っ飛んで赤字になるわ〜

従業員側からみれば最低賃金UPや有給の強制消化は間違いなくありがたいことですが、7900万の人件費上昇と1000万の有給によるコストアップは地域経済(特に労働集約産業)には大打撃を与えることは間違いないでしょう。

私は企業経営者としてこのことで政府批判するつもりはありません。

むしろこのことを認識した上で会社の収益を高めるように努力しようと思ってます。

ただ、これだけの変革が起きると地方社会には色んなひずみが出てくることは間違いないと思います。

そこでどんなことが起きるか想像してみました。
(当社というのではなく一般論でお考え下さい。)


身近な問題として・・・
@賞与がなくなる
・・・企業から見れば給与も賞与も人件費。給与が上がり、会社収益が上がらなければ当然ながら賞与を減らして人件費の調整を行います。
⇒これはすぐにでも影響が出るでしょう。

A外注が増える
・・・今回は給与・有給の問題ですが、これ以外にも従業員を雇うと掛かるコストの1つに社会保険などの負担があります。
企業にとってはこれを含めた人件費ですから外注のような雇用責任を負わないビジネスモデルが増えるでしょう。
この最たる例は最近話題になっているコンビニオーナーかもしれません。

B機械化が進む
・・・上述のように人に対するコストが高まればこれを代替する機械に対する投資は間違いなく増えることになります。
そうなると、機械に置き換わる仕事はどんどん減っていくことになるでしょう。

当社青森工場は先月から生地を保管する倉庫を自動倉庫(デジタルで出し入れする倉庫)に切り替えましたが、これにより従来3〜4名の作業者が必要だった業務が2名程度で出来るようになります。
こういった形で作業がどんどん機械化し従業員が要らない会社が生まれてくるようになると思います。

また機械化が進むというのはある意味では経営者と労働者の差が極端になるということかも知れません。
つまり経営に入れば、機械を使って利益を上げ、それを少ない人数で分配する=一人当たりが増える。
一方で、労働者は機械の変わりだから低いまま。といった図式です。

C外国人労働者
・・・個人的には外国人労働者の問題は少子高齢化の影響と思っていますが、人に対するコストが上がれば、コストが安い方法を探すのも企業経営ですからやはり外国人労働者が増えるでしょうね。

さてさて、ここまでの変革を日本はあと何年でやるのでしょうか?

お金持ちは機械化で人を使わずお金儲けをして、
貧乏人は敵は機械となって戦わなければならなくなる。

なんか子供の頃に見た、銀河鉄道999の鉄郎(?)とメーテルを思い出しました。

そんな時代があと5年ぐらいで来るかも知れません。
posted by オーダースーツのヨシムラ at 23:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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