この夏、私の仕事の中で大きな部分を占めていたのが、医療用防護服縫製の仕事。
何度かブログにも上げましたが、厚労省から50万着という大量のオーダーをいただき、自社だけでは縫製しきれず、全国の縫製工場に依頼をして製造していた物でした。
オーダースーツ屋の我々としては正直、素材が違えば、工程も違う、しかもオーダーではなく既製品ということもあり、色々と難儀した一連のプロジェクトもようやく本日最終の出荷を済ませ、無事終了しました。
あ〜っ、、、
長かったようで短かった3カ月でした。
この防護服は色んな意味で、日本の、また日本全国の縫製工場を救った国の事業でした。
この点では安倍政権には感謝の言葉しかありません。
医療機関を救うという点では、防護服は3〜4月ぐらいにはコロナ患者の増加に伴い、マスク同様入手(主として中国からの輸入)が困難になったため、国が旗振りとなり、国内縫製工場に製造を依頼したことで、安定供給につながりました。
(今現在は、コロナ第2波、第3波に備えた備蓄が出来てきています。)
一方、縫製工場にとっては、新型コロナでファッション業界が壊滅状態になる中、この国からの仕事は工場運営にとっては生命線でした。
(工場を一時的に閉めれば、雇用調整助成金は貰えますので一応の維持はできますが、これが働く側にとって良いことかどうかは別問題です。)
実際、この50万着というのは、50-60名規模の工場で一日2,000枚×25日/月=5万枚ですから、500-600人規模の雇用を維持できた公算になりますので、コロナで受注が激減した(というか、ゼロになった)縫製工場にとっては救いの神でした。
弊社工場でもこの夏は売上が2/3になりましたから、コロナの打撃は大きかったのですが、工場の1/3相当をガウン縫製に充てたおかげで決算も赤字を逃れることが出来たのは、ガウン縫製様様でした。
画像は最後の出荷の際に撮った写真。
無機質な段ボールの画像ですが、東京の本社ビル内の会議室は一時、この段ボールでいっぱいになっておりました。
季節は秋になり、オーダースーツのご注文も少しずつ入るようになりました。
どこの会社も売上は前年対比で考えるところが多いと思いますが、ようやくここにきて前年の売上を上回るようになり、少し安堵できるようになりました。
空けた穴を埋めるにはまだまだはるか遠いですが。