先日、中央最低賃金審議会での議論で今年の最低賃金の引き上げ額が決まりました。
地域にもよりますが、28円〜31円。

政府は早期に時給で1000円を超えるように頑張っているようですが、ここ5年以上毎年最低賃金がすごい勢いで上昇していて、企業経営者としては本当に辛いところです。(今日は縫製工場の社長の立場で書いています。)

企業には色々なタイプがあります。
その中で、一定を収益を上げるために従業員が大勢必要な業種業態もあれば、少ない人員で収益が上がる業種もあります。
少ない人員で収益を上げる業種の例でいえばIT系企業などがそれに該当すると思います。(こういう業種・産業を資本集約的産業と言います。)
一方、収益を上げるためには従業員が大勢必要な産業は、労働集約産業と言われるのですが縫製工場はその典型に該当します。
当社でいえば従業員320人で、一日スーツが300着ですから。
つまり簡単に言えば、従業員1名が毎日1着のスーツを縫っている計算です。
そうなると、、、
最低賃金が上がれば、スーツ1着の工賃も上げなければなりません。
政府は、下請け企業が発注元に価格転嫁が出来なければ、価格転嫁が出来るように支援をすると言っています。
ですが、出来る訳ありません。
力関係が違いますから。
一瞬、工賃を上げてもらっても、翌年度仕事がなくなるだけですからね。
時給が30円上がるということは
30円×8時間×25日×350人×12か月=2,500万円
2,500万円年間コストが上がります。
加えて、世の中インフレですから、もう無茶苦茶×××
さらに言うと、設備投資をしようと補助金を申請しようとしても、最近は『事業所内の最低賃金を地域最低賃金+30円以上』にして、それを『3年間維持』する誓約をしないと補助金がもらえません。(ものづくり補助金の例)
これだと、、、
500万円の補助金をもらうために毎年2,500万円のコストアップを3年する、ということになり、正直なんのこっちゃです。
自慢するつもりはありませんが、当社はこれでも黒字経営で、事業所内の最低賃金は地域の最低賃金より高めに設定できています。
だからまだ良い方に分類されると思います。
が、こうも凄い勢いで最低賃金が上がったり、補助金に制約を加えると経営体力が削がれてしまいます。
確かに、時代はITとかハイテクとかで高収益を上げる企業が時代の寵児となっていますが、仕事というのはそんな派手な仕事ばかりでなく、農林水産業ほか地味な仕事がほとんどです。
本当はそういう産業こそが、従業員数が多く、多くの雇用を生み、地域産業を支えているのだと思うんですけどね。。。
経営者として従業員の待遇を上げることは、自分の使命だと思っています。
ですが、あまりにお国から法律という形で制約を加えられると、この国は実は共産主義国家なのではないか?とさえ思ってしまうんですよね。
。。。ぶつぶつ言わず、業績が上がるよう頑張ろう。それがおいらの使命なんだ。