2022年08月24日

時代の節目

最近、コロナなど100年、200年に一度と言われるような想定外の出来事で社会全体が大きく変わることが起き、そのたびに時代の大きな曲がり角、節目にきているのかな?と考えています。

これは何も自然災害だけでなく、例えばオリンピックの問題で贈賄を疑われているAOKIの問題も、天下のAOKIがこんなことで凋落するかもしれない訳ですから同じことです。

ざて、
そんな社会全体のことを中小企業のオーナーが語っても仕方がありません。
今日は業界の話をします。

実は、業界人なら有名な話なのですが、先日オーダースーツ業界では重鎮中の重鎮であるG社の会長がお亡くなりになられました。
ご高齢でしたのでお亡くなりになられたこと自体は天寿を全うされたものと思い、悲しいというよりお疲れさまでしたという感じですが、
当社も少なからずご縁のあった方でした。

今日はその方の経歴を話したいのではなく、この方を通じて、オーダースーツ業界の栄枯盛衰を考えてみたいと思います。

読者の皆さんはオーダースーツ業界
特に、ハンドメイドのフルオーダーではなく、イージーオーダー、パターンオーダーと言われるある程度機械化・近代化されたオーダースーツ業界がいつ頃生まれ、その中の中心企業はどこだったか?などご存じでしょうか?

その歴史はこんな感じです。(一部自身が業界に入っていない頃のこともありますので事実誤認があった場合はご容赦を)

昭和60年代〜 アパレルCAD・CAM開発によりイージーオーダーが生まれる
 代表的縫製工場:花菱縫製、グッドヒル、日本ソーイング、東京クロージング(廃業)
 代表的販売店:ハナビシ、銀座山形屋、エフワン、ビッグヴィジョン


※自社のことを宣伝するつもりはありませんが、実はビッグヴィジョンはイージーオーダーでは相当な老舗です。ただし、その当時は私は社長ではありません。
これらの言わば老舗縫製工場、販売店は今でも規模の大小はあるものの今でも営業しております。

が、2000年頃より新たな風が吹き始めます。
そう、インターネット化によって中小専門店が自身の特徴をアピールする形で大手に対抗しはじめ、新たな勢力が生まれてきました。

ある意味、それがオーダースーツのヨシムラだったのかもしれません。

そして、専門店が台頭し始め10年。少しずつ風向きが変わります。

2010年頃〜 IT系企業の参入
2000年頃から台頭してきた中小専門店ですが、どうにも中小企業の枠を抜け出すことができる企業がありませんでした。
ある企業はNETでちょっと売れたことを良いことに、NETビジネスアドバイザー業に力を入れすぎ、本業を失ってしまったり、楽●などのショッピングモールに良いようにされて疲弊してしまったりと、あまり後に繋がった企業は多くありませんでした。

そして次に台頭してきたのが前述NET系IT系企業です。
彼らは、最終ゴールとしての上場を目指し、頑張っています。

代表的な例では、ファブリックトーキョーさんとか、撤退されましたがZOZOスーツさんでしょうか?

彼らの強いところは、【オーダー=個別性がある→だから全てを非効率な個別性で良い】という従来の発想をなくし、ITで効率化できるところはすべて効率化して、合理化しよう!といったもので、これは現在の当社の7DAYSオーダーなどに生かされている発想です。

また、同時に2010年頃から大手既製服メーカーのオーダー業界への進出も多く行われるようになりました。
今の企業でいえば、コナカのディファレンスなどがそうですし、ほかにも色々あります。

長々と書きましたが、そんなこんなで今のオーダースーツ業界は

老舗企業、中小テーラー、IT系、大手既製服チェーン系列などがひしめいているのが実情です。

さてさて、どんな企業が生き延びていくのでしょうか?
古い老舗企業は、会社によっては動脈硬化を起こしているところもあります。
中小テーラーも抜きんでている店は多くありません。
IT系にはノウハウ不足もあったり、大手既製服チェーンもオーダーという専門戦の習得には苦戦している店も多いようです。

業界の重鎮の方がお亡くなりになったことで、改めて業界の歴史を振り返ってみましたが、他業界が歴史の変遷とともに統合や合併、倒産や起業を繰り返して新陳代謝により活性化しているように私たちの業界も今後そのようなことが起こりうるような気がします。
Y会長がお亡くなりになられたことは、10年たって、あの方の葬儀が全てのスタートだったのかもしれないな、と言われるようになるかもしれませんね。
会長のご冥福をお祈りします。
posted by オーダースーツのヨシムラ at 10:16| Comment(2) | 仕事のこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しみに拝読させて頂いております。
この業界の栄枯盛衰の件、本当に大学のゼミのテーマにでもしたら面白いと常々考えていましたところ今日の「日記」はひときわ心に沁みました。
工場経営は他人が伺い知れぬ大変なご苦労があると思いますがどうか「工場の効率」だけでなく工房としての「味」といいますか「クールジャパン」を意識しての物作りにも目を向けて頂ければと、、、。 まあ余計なお節介とお笑い下さい。
Posted by  (有)アティ 吉田一也 at 2022年08月25日 12:30
吉田様
私の拙いブログにコメントをありがとうございます。

今日の日記のタイトル「時代の節目」とありますが、実は最初付けたタイトルは「祇園精舎の鐘の声」でした。
ただ、こちらだとなんかY会長に失礼なような気がしてタイトルを直したのですが、お伝えしたかったことは、企業は絶えず自己研鑽していかないと時代に取り残されてしまうのでは?ということでした。
Y会長のような大人物がいる企業や業界は、こういったカリスマがいなくなると大変だと思います。
人間は有機物ですから、いずれは死んで消え去りますが、業界や企業は、そうは行きません。
リーダーがいなくなった後、残った人たちは、寂しさを感じながらも自らがリーダーになって先人たちの進んだ道を行かなければならないのです。・・・そんな風に考えてます。
Posted by 吉村 at 2022年08月25日 16:18
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