2023年03月08日
辛い知らせ
タイトルと真逆ですが、長年仕立て屋をやっていますと仕立て屋をやって良かったな!と心から思う瞬間があります。
それは例えば自身で仕立てたスーツを着てお客様がイベント等で成功した時や、自店のお客様が昇進されて新しい名刺を頂いた時など色々ですが、こういう時は本当に嬉しいものです。
また私のキャリア(20代の若い頃から仕立て屋をやっている)からも、お客様が若かったため、こういったお客様の右肩上がりの人生に乗る(乗せて頂く)ことが多く、これまでは嬉しいことばかりでした。
(お客様の中には、某県知事や衆議院議員、上場企業社長まで結構沢山偉い方がいます。)
一方で、タイトルに書いた“辛い知らせ”ですが、こちらは一番は長年懇意にしてくださったお客様がお亡くなりになるケース。
スーツを着る人達は、一般的には、成人式前後〜ビジネス寿命を迎える65歳前後までですから、実際の天寿を全うする時(80歳とか90歳)の頃には、お店に立ち寄られる年齢ではなくなりますから、自然とお会いするケースは減ってしまうのであまりお客様の訃報に接することはありません。
ですが、今日は違ってました。
ヨシムラのあるお客様が若くしてお亡くなりになられたというお話をご家族の方から伺いました。
その方は私より年齢が1つ下で年齢的にも近い方でした。
ご注文の際には、私が年上ということで“先輩!先輩!”と声を掛けていただき、とても嬉しく思ってました。
仕事も順調で、我が社よりずっと大規模な会社の社長にまで上り詰めた方でしたし、私が何より尊敬していたのは、子供のために生体肝移植で肝臓を提供された人だったことです。
(これ以上は特定されてしまうので控えます。少し事実と変えて書いています。)
そんな方の訃報を聞き、絶句しました。
まだまだ彼は世の中に貢献できることはあったろうに。
この仕事をやっていて一番悲しい仕事は、お亡くなりになられたお客様の顧客ファイルを片付けることです。
顧客ファイルには、ご注文ごとの詳細が書いてあるので、いわばその人のワードローブの全てが分かります。
あのスーツは、あの時、大切な商談で使いたいからと言われ仕立てたな・・・
あのコートは、寒い英国へ出張するから、暖かいカシミヤを選んだな・・・
色んなことが走馬灯のように思い出されます。
F君、安らかにお休みください。合掌
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