休憩時間にYahoo Newsを見ていたらこんな記事がありました。
タイトル:入学式前夜、やっと学生服…納品遅れ100人分 ギリギリ配達計画
https://news.yahoo.co.jp/articles/667ca6d08b8ef889d71c27a42f15eec2693232b0
そう、昨年の今の時期、高校生の制服が入学式に間に合わず、販売店が謝罪したニュースがありましたが、今年もこれが起きたようです。
(↑今回の報道ではギリギリ間に合ったとのことですが全国的に見ると納品遅れがあったことは必至です。)
このNews、何故私が反応したかというと、実は昨年縫製業界で、ちょっとした出来事がありました。
それは何かというと、昨春の納期遅れトラブルを受けて全国の大手制服販売業者が東北のスーツ縫製工場にこぞって3月末納品の学生服縫製を依頼してきたのです。
縫製工場は仕事を融通することもあり、横のつながりが強く、定期的に情報交換するのですが、あまりに隅々まで縫製依頼が来ていたため皆、一様に驚きを隠せませんでした。
ですが、、、
最初は何とか3月末にお手伝いして貰えませんか?と下手に出てこられたので、各社協力できるならば、、、と前向きに対応していたのですが、いざ製品見本等を作る段階になると、値段が全く合わず残念ながらどこも受注を断念せざるを得ませんでした。
実際その時の縫製業界から見た学生服業界の皆さんは、なんというのかな、、、昭和の時代というか「沢山注文するから安くして!」といった感じで、人件費や光熱費、その他資材がこれだけ高騰している中、価格が全く合わないのです。
きっと彼らは海外でこれまで縫製していたのでしょう。
でも、それだと納期が間に合わない。
だから、国内で縫製するけれど、値段は海外と同等の価格で、
数を出せば工場は涎を垂らして注文を受けるだろう、と考えたのかも知れません。
でも、世の中は昨年来のインフレです。
加えて、ここ10年最低賃金が鰻上りですし、光熱費、資材etc価格が上がっている訳ですからそれなりの工賃をもらわないと工場も成り立ちません。
まして、例年2-3月は繁忙期ですから、他のお客様も沢山来られています。
それを差し置いてまで、受注するような工場はなかったのです。
ですから、業界人から見るとこれは起こるべくして起きたことです。
世の中はインフレですし、人件費は上がっているのですから販売価格に転嫁しなければビジネスは成立しないのです。
消費者ばかりに良い顔をしようとしても、作り手がいなければこんなことになってしまうという良い例ではないかと思います。
何も工場は傲慢にふるまっている訳ではありません。
ですが物を売るためには、製造と販売の2つが必要で、両者とも欠くことの出来ない間柄なのに、利益分配では販売側が絶対的優位に立っているからこうなるのです。
学生服業界もこの辺をよく考えないと同じことを繰り返すことになるのではないでしょうか。
また、この生地の最後には
> 生産能力の限界を超えたメーカーが、小規模学校の受注を後から断ったという
> 話も耳にした。根底には、時代の変化に対応できない業界の構造的な問題もあ
> る。納品遅れや値段高騰のしわ寄せは、弱い立場の保護者や子どもが被ってし
> まう」と懸念する。
と最後に締めていますが、これも間違ってます。
弱い立場は保護者や子供ではありません。
販売側が安く安くを追求する一方で、自分達の利益は確実に確保しようとするばかりに、製造現場で働く人たちに十分な利益を還元していないからこうなるのであって、弱い立場は零細な製造現場にあるんです。
制服が安く手に入ることも良いですが、制服を買うお父さん、お母さんの所得を増やすことも考えないといけないのです。
追伸:相当強烈なことを書いています。
学生服業界の方が読んでご不快にならないようどうか言葉が過ぎたことはご容赦ください。
2023年04月05日
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