2023年09月06日
副業型テーラーの淘汰
読者の皆さんには洋服を仕立てるテーラーにはどんな会社があるか、どんなご認識でしょう?
これは個別の会社ではなく、どんな業態の会社が多いかという話なのですが、昔からあるテーラーには次のような業態がありました。
・個人経営のテーラー
・古くからのチェーン展開のオーダースーツ店 ※1
・百貨店
・関連業界からの参入 ※2
※1:ビッグヴィジョンはこちら
※2:ヨシムラは元が生地屋なのでどちらかというとこちら
これらは老舗が多く今でも多くのお店がありますね。
それがこの10年ぐらいでオーダースーツマーケットにこんな参入者が現れました。
・アパレル(既製服屋)からの参入 AOKI・青山・コナカなどなど
・IT系・NET系企業からの参入
そして、この↑2つは資金力もあり、チェーン展開しているお店もあるのですが、中小規模ではこんな参入組もありました。
・副業型テーラー
副業型というのは私が勝手につけた名前ですが、ようは本業があり顧客基盤をある程度持っているので、その顧客に対して、スーツも販売して売上をふやそう!という営業スタイルです。
ですから、参入者は建設屋さん、保険屋さん、イベント屋さんなど多岐に渡りますが、どちらかというと大きな法人組織ではなく、個人経営の方が旺盛な事業意欲の結果、たどり着くというのが多いです。
で、私は生地屋の社長あるいは縫製工場の社長として、これらの皆さんのサポートを行うことがここ5年位結構ありました。
具体的には、副業型のテーラーは仕立てのプロではないため縫製が分からない、採寸が分からない、パターンが分からないなど【分からないこと】づくめのため、作成した仕様書のチェックやお客様からの質問へ回答を用意するなど、です。
酷い例では、採寸があまりに出来なくて、採寸だけ代わりに我々が行うなんてこともありました。
そして、この副業型テーラーはコロナ前までは結構な件数があったと思います。
(発注を頂けるのでこちらも最大限協力しました。)
ですが、コロナの3年間を経て、これら副業型テーラーが今まさに淘汰されようとしています。
つい先日もある副業型テーラーへの業務支援を行っている会社が廃業するとの連絡が来ました。
どうやら新型コロナで打撃を受け、コロナの期間はコロナ融資で何とか生きながらえていたのが、ここにきてコロナ融資の返済が始まり行き詰ったようです。
業界の人間として、一連の副業型テーラーの淘汰については複雑な心境です。
当初は、こういった旺盛な事業意欲のある人達が、当社のような既存企業の刺激となり業界を活性化するのかな?と思っていましたが、いざ淘汰の憂き目を見ると、真面目に商売をしていない(副業型は専門性が低い)とやはり最後は生き残れないのか?など。
新型コロナは人の命を奪いましたが、仕事を奪った面もあるんですね。
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