元旦に起きた能登の大地震、寒い時期だけに大変です。
大地震があってもその後震度5程度の余震が何度も続いていますから影響を受ける地区の方は気を抜く間もなく、被災された方には心より同情いたします。
私も出来ることは何かないか?と考え、工場の備蓄用食料・飲料水を送るぐらいしか頭に浮かぶものがなく手をこまねいています。
それはさておき、今回の地震で私達の業界(オーダースーツ、アパレル業界)にどんな影響があるか?考えてみました。
実のところ、石川県というと繊維業ではピンとくるものがありませんでした。
昔は、お隣の福井県(その隣の京都を含む)が水戸黄門の『“丹後”のちりめん問屋』のとおり、婦人物のちりめん(シボのある伝統的な婦人用の生地)の産地だったことや、昭和の時代には、化学繊維系メーカーの工場が過去にありましたが、それも過去30年で海外移転等によりあまり繊維業の産地としては存在感が薄くなっていました。
ところが色々調べてみるとそうではないことが分かりました。
どこに影響がありそうか?というとどうやらキュプラ裏地の生産に影響が出そうです。
どういう事かというと、皆さんもご存じのように服地(裏地含む)などの織物は縦糸と横糸を交差することで反物を作りますが、縦糸は横糸と比べて長さが非常に長いため、それ専用で糸を作ります。
(イメージとして、色違いの生地というのは、縦糸を同じにして横糸だけ色を変えて生地を織るケースがあり、縦糸というのは汎用性が高いのでロットが大きくなるのです。)
そして、この縦糸を作る工場が能登半島を中心に多いようなのです。(仕入れ業者さんから教えて貰いました。)
ご存じの方は余程の業界人だと思いますが、実はキュプラ裏地はここ数年受難続きです。
というのもキュプラという素材で一番有名なのは旭化成のベンベルグですが、その旭化成ベンベルグ工場が2022年に火災を起こし、(同社は過去にも火災を起こした事があり)消防がなかなか工場再開の許可を出さないのだそうで、今現在完全な供給力不足に陥っています。
(旭化成は技術の海外流出を防ぐためベンベルグは海外工場では生産していないことも、供給不足に追い打ちをかけています。)
そこに今回の縦糸成形工場が被災してしまったとすれば大変なことです。
聞くところによると今現在はまだ工場の被害状況すら見えていないようなので、詳細はこれからの後報を待たなければなりませんが、世の中は色んな所で複雑にかみ合っているものです。
当社も何かお役に立てれることがあれば微力ながら協力いたしたいと思います。
2024年01月12日
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