では、大賀はどうすれば良かったのでしょうか?
この業界を行く末を考える時、時系列では次の認識がないとダメだったように思います。
2000年代:
・10年後から現実に直面する団塊の世代引退問題
・インターネットの普及
・百貨店ビジネスの終焉※
※世界的に見て日本の百貨店は明らかにオーバーストア。数が減るのは必至。
・コスト削減のための海外工場移転
2010年代
・現実となる団塊の世代引退問題
・インターネット普及に伴う百貨店ビジネスの急激な衰退
(ショールーミング化、価格コム台頭)
・温暖化問題からのクールビズ
2020年代
・少子高齢化によるスーツ需要の減少
・現実となった百貨店の廃業ラッシュ
・ビジカジの世界的な潮流
この中で大賀の最大のミスジャッジは2000年代には既に明白にわかっていた百貨店ビジネスの終焉に対して対処が遅れたことではないでしょうか?
同業のオンワード樫山が頑張っているのは、このことを見据えて、百貨店と言う他人様の店舗での販売から、自社で直接販売する方法にシフトしていったことでしょう。
大賀さんはそれが出来なかった。
さらに言うと、コロナ直前位にオンワードが不採算百貨店のオーダーサロンから撤退した際に、その跡地を大賀が拾って出店していったことです。
「天下のオンワードが運営してダメだった場所を、二番手以降の会社がやってもダメでしょう?まして、上述のように百貨店は衰退産業なんだから。」というのが私の見立てでした。
ここで傷口が広がってしまったんでしょうね・・・
追い打ちをかけたのはきっとコロナでしょう。
コロナで百貨店が臨時休業した時、縫製工場を抱えているともうどうしようもない。まぁ、当時は雇用調整助成金があったからギリギリで凌いだのでしょうが、焼け石に水だったのでしょう。
こんな時、当社のような野武士集団は、どんな仕事でもどん欲に拾ってくることで何とか凌ぎましたが、老舗大企業はダメだったんでしょうね。
どうでも良いことかもしれませんが、同社は昨年まで某大学のOB会でスポンサーをしていました。
私はそのOB会でのスポンサー掲載広告を同社が破綻した後、目にしたのですが破綻前資金繰りが苦しい中、大学のOB会への広告(=つまりは広告効果というよりは社長さんの自己満足での広告)なんかよくやれるな、と批判的に見ていました。
こういった甘さも破綻の遠因になっているのかもしれませんね。
随分この話題を長く書いてしまいました。
関係者の方がご不快に思われたらお詫びします。
(が、自分なりの信念をもって書いているつもりです。)
この業界に長く居ますと色んな企業の栄枯盛衰をよく目にします。
どんな仕事でも奢らず、謙虚に。
この気持ちを忘れないようにしたいと思います。
今は批判できる立場でも、将来自分がどうなるかは分かりませんからね。
2025年01月22日
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