2015年09月29日

絶対の逸品


読者の皆さんはビッグヴィジョンが年に1度企画する『絶対の逸品』という商品をご存知でしょうか?

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詳しくは、こちらに書かせて頂きましたが、これは当社(グループ)が総力を上げて企画した渾身の生地(を使ったスーツ)です。

ご存知の方も多いと思いますが、当社は他のオーダースーツ店と比べると、グループに@生地専門商社があるA縫製工場があるという強みがあり、コンペティター企業と比べると、『生地に対する思い入れ』と『縫製に対する思い入れ』が強いのが特徴です。

そしてこの絶対の逸品は、『生地に対する思い入れ』という点では産地まで赴き、材料を吟味していますし、『縫製に対する思い入れ』ではハンドメイドの仕立てまで提供できるという強みがあります。

そして今年取り扱う絶対の逸品は何かというと、、、

カシミヤ100%のスーツ地


えっ?カシミヤ100%の生地なんてどこでもあるじゃない?
・・・そう思う人もいるかも知れません。

そんな皆さんにお聞きしたいのは、「それはジャケット(コート)の話ではないですか?」と。

そう、確かにカシミヤのジャケットやコートはどこにでもあります。
でも、カシミヤ100%のスーツは相当のお金持ちでなければ持っていないはずです。
何故なら、殆ど流通していないから。。。

詳しく話すと長くなりますから、短く説明しますが、洋服の生地には大きく2種類(梳毛somouと紡毛boumou)あって、一般的なカシミヤのマフラーやジャケット・コートは紡毛という、毛足の短いものを使用しますが、スーツに使う梳毛は長い毛足のものを引き揃えて作るため紡毛よりはるかに高度な技術が必要で、仕上がったものは太さが均質で、滑らかで光沢感があるのが特徴です。
※:代表的な紡毛の生地はツィードですが、皆さんイメージの通りツィードはやや粗野でざっくりしたイメージがありますが、紡毛ですとそういった風合いになります。

で、今回のカシミヤ100%の生地は梳毛ですから、非常に良いものになっています。

これはメールマガジンなどにも書かなかったのですが、実はこれを作るのには本当に苦労しました。

全国あちこち飛びますからね。。。

まずは、原毛の仕入
一般に、メンズの洋服地の産地は愛知県一宮地方(尾州)ですので普通でしたらそこで入手できるのですが、、、上質なカシミヤ100%素材はそこでは入手できませんでした。

入手するために訪れたのは・・・大阪は泉州

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、泉州は深喜毛織さんやなくなった藤井毛織さんなど日本のカシミヤの一大生産地。
(でも、泉州は紡毛主体なので、梳毛織れない!)
そこで原毛を入手しました。

原毛は、カシミヤ山羊の毛を狩った状態ですからこれを今度は「糸」にしなければなりません。

これも本来でしたら尾州で出来ることなのですが、カシミヤ原毛は細く繊細なため、尾州では出来ず、なんと!鳥取県まで飛んでいきます!

聞けば最高級の原毛にするのは鳥取にある紡績屋さんに頼まないとダメだそうで、日本で一番といわれる紡績工場に依頼をして、糸にします。

それから、今度はようやく尾州に戻り、機織(はたおり)になりますが、これも高速織機で織ってしまうと風合いが飛んでしまいますから、低速のションヘル織機を、しかもションヘルでは日本で最高峰といわれる葛利毛織さんに依頼して織り上げました。

ふ〜っ、説明を書くだけでも大変ですが、それにしても全国を飛び回りました。
何もかも初挑戦です。

カシミヤ100%スーツ地は国内ではミユキ毛織さんが最高級のナポレナシリーズで製造していましたから、調べれば簡単に出来るだろう・・・と思っていたのですが、実はミユキさんは完全国内生産ではなく、一部を英国に委託するなどしており、ミユキさんのルートに乗せれば、、、と安易に考えていた当社にとっては、思惑が外れ大変でした。

こうして生まれたカシミヤ100%スーツ

私自身も1着仕立て中(もちろん仮縫つきのハンドメイド!)ですが、
是非、皆さんにも知って頂きたいと思います。

この商品は正直当社でも98,000円と高価ですから、おいそれと皆さんもお求めにはなれないと思います。

でも、お店でご覧になったり触ったりするのにはお金は掛かりません。
スーツが好きな方でしたら是非触ってみてください。

買ってくれ!とは申しません。
こんな機会はそうはありませんから、是非知って頂きたいのです。

この商品は原毛の産地(内モンゴル)を除けば全て国内で最高水準の技術者達によって作られました

その“なれそめ”を考えるだけでもスーツ好きには堪らないと思いますよ。
posted by オーダースーツのヨシムラ at 15:37| Comment(0) | 仕事(仕入) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月08日

柄物シャツ地追加仕入れします。

皆さん、クールビズの準備はお済みですか?

5月になり初夏の陽気が多くなってきましたから、そろそろ今年のクールビズはどうよ?
なんて考えている方も多いのではないかと思います。

クールビズも始まって10年を経過し、色々と変化して来ました。

最初の頃は・・・クールビズと言っても、『スーツ−ネクタイ』でしたが、最近はさすがにこれでは世の女子から厳しい目で見られます。

その次に流行ったのがシャツのデザインを少し凝らせたデュエボットーニとか襟や前立てにカラーステッチを入れたタイプ。
↑はどうでしょうか?今から4〜5年前といった感じですかね。。。

そして、ここ1〜2年はどんなのが人気だったかというと、

ズバリ!一見して良い物だと分かるハイクオリティー商品

つまり、艶感やドレープ感などで素材の良さが一発で分かる。
デザインなど奇をてらわずともその良さが見ればすぐ分かる。

そんなシャツが人気でした。(この人気は今でも続いています。)

ですが、ファッションは常に新しいものを求めるもの。
・・・ビッグヴィジョンやヨシムラではそのように考えて、実はその先の試みとして昨年から高級インポート素材の柄物シャツ地を取り扱うようにしました。

実の所、柄物のシャツは無地やストライプなどのビジネスタイプと比べると圧倒的に売れません!(笑
まぁ、保守的な人が多いですからこれは仕方のないことです。

ですが、品揃えの中に、洒落っ気があって、国産には出せないいかにもインポート物というような色柄のシャツ地が入ると、売り場は俄然、洒落た雰囲気になります。

そこで柄物シャツ地を扱ったのですが、これが最近大好評です!

私自身もこんなシャツを数枚作りました。

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どうでしょうか?クールビズ期にコットンパンツと合わせて着ると洒落てて良くありませんか?
休日ファッションとしてもGoodと思います。

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・・・ということで、今期は伊アルビニ約20マーク柄物シャツ地を追加することにいたしました。

中には、水玉模様があったりと普段のメンズ的な発想では考えられないような柄もありますが、どれもなかなか良い感じです。


メンズのファッションはレディースと比べると華となるポイントが少ないのが特徴です。
クールビズ期には数少ないメンズの華である上着・ネクタイがなくなる分、シャツに少し贅沢をするのは、正しい方向だと思います。

こちらも6月初旬には店頭にサンプルが揃いますので是非試して見てください。


posted by オーダースーツのヨシムラ at 19:05| Comment(0) | 仕事(仕入) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月08日

値上げの冬×××

皆さんご存知の通り、ここに来て為替が8月の1ドル100円から一気に120円に急激に安くなってきています。

皆さんの身の回りでは影響が出てきているでしょうか?

ガソリンは原油価格が安くなっているので意外なことに高さを感じませんが、
実は、年末を境に色んな物が値上がりしそうです。

最近報道されたところでは、、、

吉野家の牛丼 380円→480円 26%UP
日清のカップヌードル 5〜8%値上げ(2015年1月出荷〜)
UCCコーヒー 25%値上げ etc

それ以外にもスーパーではバターが品薄になったりと、凄い勢いで私たちの日常生活に円安が影響を及ぼしてきていますね。

で、お話しづらいことなのですが、、、
我々スーツの業界も実は大変な岐路に立たされておりまして、、、

先日、青山商事さんの中間決算が出ましたが、その際に報道されたことが営業利益が7割減という衝撃的な報道でした。
そこで私、決算書を調査して見たのですが、実は(スーツに関する)売上は4月以降わずか6%位しか落ちていないんですよね。
なのに、営業利益7割減。

実は、これってほとんどの要因が(売上ダウンではなく)コスト上昇による利益圧迫だったのです。

つまり、円安によってコストが上昇した分を価格転嫁しなかったために利益が吹っ飛んでしまったのです。

それで天下の青山さんも慌ててセールの割引内容などを減らす手に出たのです。

ということで、スーツの業界も来年からは確実に値上がりします。

車と同じように高級ゾーンの商品は変化率に直せばそれほど上がらないかも知れませんが(高級外車が円安でも値上げしないのと同じロジックです。)
廉価品・スタンダード品に関しては確実に10〜20%は値上がりすることになると思います。

消費者としては、これまでゼニアを買っていた人がロロピアーナにグレードダウンさせれば支出する価格は維持できると思いますが、
一番厳しいのは、2万円台でスーツをお求めになっていた方々です。

ビッグヴィジョンでは現在裾値のスーツは21,000円ですが、こういった商品こそが本来利幅が少なくコストアップの影響が直撃してしまうため値上げの対象となりやすいのです。
(先述の吉野家の牛丼やカップヌードルのように...)

ただいま、影響を最小限に食い止めるため色々と努力しておりますが、
例えば、中国縫製の芯地などはわざわざ日本から送っているのですが、これを現地調達に変えれば少しは安くなりますが、そうなると品質が確実に下がるので、こういったことは出来ませんし、為替で上がった2割のコストアップを吸収できるような画期的なコストダウンが出来るはずがありません。

ということで、ビッグヴィジョンでは来年の春夏物からの値上げをただ今検討中です。

何分にも今の為替水準は企業努力の域を超えていますのでどうかご理解下さいます様お願いいたします。
(ヨシムラも同様に来年春夏物より値上げを検討中です。)

消費税が上がったときはわずか3%でしたが今回はあちこちで1割2割アップという声が聞こえそうで怖いです。。。
posted by オーダースーツのヨシムラ at 16:00| Comment(0) | 仕事(仕入) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月24日

絶対の逸品開発秘話?

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先日ビッグヴィジョンのホームページでご紹介した『絶対の逸品』 お陰さまで、沢山のご注文を頂いております。

企画者としてはホっと一安心といったところですが、落ち着いたところで、この絶対の逸品の開発秘話などをお話したいと思います。

開発?秘話?ともったいぶった書き方をすると少々口幅ったいのですが、実はこの企画はタイトル通り、「絶対の」自信があって商品提供しています。

・・・というのは、実はこの商品はビッグヴィジョンでは初めてお目見えする素材ですが、オーダースーツのヨシムラの方では既に5年前に全く同じ企画で生産し、あっという間に完売した実績ある商品だったからです。(創業125周年記念のイベントとして発売しました。)

当時は紺・黒・グレイの無地を各2反ずつ作り、それをヨシムラの2店舗だけで発売し、そのシーズン中に完売。

これは実は凄いことで、ヨシムラは2店舗しかありませんからビッグヴィジョンと比べれば圧倒的に小規模ですが、その2店だけで合計6反、約100名に販売したんですからね。。。

さらに言うと、翌年以降もリバイバルのご要望が強かったにもかかわらず、周年記念イベントの専用商材だからといって再生産せず、今に至っているというから、ある種高飛車な商材です。(笑

ですから、今回はビッグヴィジョン的には“初めて”開発したかも知れませんが、実は絶対の自信があって、満を持した商品紹介だったのです。

ビッグヴィジョンはヨシムラと比べるとお客様の層も若干違います。
ですから、SUPER160'Sと言ってもヨシムラのお客様ほど魅かれないかもしれませんが、それでも滅多にない素材ですからお買い求めの有無は別に、触るだけでも価値があると思いますよ。

是非店舗で一度触って見てください。

それはさておき、私の中ではもう次の絶対の逸品が頭の中に浮かんでいます。

そのテスト販売を11/8リニューアルオープンの日比谷店で、ひっそりと行おうと思っています。
どんな商品が次の絶対の逸品(候補)か・・・?

こちらも楽しみですね!
posted by オーダースーツのヨシムラ at 15:10| Comment(0) | 仕事(仕入) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月01日

アランセーター

アランセーターと聞いて、ピン!と来る方はファッションに造詣が深く、本当に良いものを探している人だと思います。

私は丁度昨年の12月のブログで少し書いたのですが、アランセーターとは先日独立運動で話題になったスコットランドの一地方(正確には、特定の島)で
手編みで織られた特別なセーターを言います。

何が特別かというと、スコットランドの北部は寒冷地のため、その防寒性もさることながら、このセーターは各家がそれぞれの網目模様を持っていて、それぞれの家が自分だけの織り柄セーターを編んでいるのです。

それには、歴史があり、、、猟師町だったアラン島では冬場暴風雨で海難事故が起きて(お亡くなりになって)もセーターの網目でどこの誰だかわかるといった、そんな悲しいエピソードもあったりして、それがこのセーターにストーリーを与えているのです。

そのアランセーターを僅かですが仕入れることが出来ました。
(実は、アランセーターの日本での一番の大家と、私が個人的に知り合いだったのです。)

1枚1枚手編みで編み上げられたセーターは、何ともいえない素晴らしい風合いです。

カシミヤのニットとは違う、もっと粗野な感じですが、何ともいえない手編みの温かみがあって、、、また色もとても良い感じです。

雰囲気は洋服地で言うとハリスツィードのような感じ。

原毛が太く、粗野ですが、ミックス調でいろんな色が複雑に交じり合って、凄く雰囲気がある、、、
手織りのため数量を仕入れることが出来ないため、ビッグヴィジョンでは10月に改装する
日比谷店、そしてヨシムラの方では高岡SHOPMASTERが是非!と言って譲らないのでヨシムラ東京店で取り扱い予定です。

製品画像は今しばらくお待ち下さい!
ただ今、高岡SHOPMASTERがHPネタにすべく、色々考えているようですので。。。

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posted by オーダースーツのヨシムラ at 17:03| Comment(0) | 仕事(仕入) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月20日

柄シャツ地を仕入れます!

ここのところ忙しくてブログ更新できずスミマセン。
目立つことをしている訳でないので、なかなかネタがないのですが、
そんな中でも今日はちょっと面白いことをしましたのでご紹介します。


・・・というのも先日、伊勢丹メンズ館に行って情報収集してきたのですが、
今回私が特に気になったのは、本格的な夏のシーズンを迎え、例年になくシャツが存在感を増してきたいうこと。

中でも、メンズではシャツ地というと無地とストライプが圧倒的で、かなり差があって格子柄というのがほとんどですが、今シーズンは変わったプリント柄なんかが凄く注目されていますね。

一方、我がビッグヴィジョン&ヨシムラでの商品取り扱いとしては、やはり、上記無地&ストライプ+僅かの格子柄だけでしたから、

ここは思い切ってプリント柄を仕入れよう! ということになりました。

でも、このプリント柄は商売的には商品の回転率は悪いですから意外と命取りになりかねません。
最悪なのは、こういったプリント柄は売れないアイテムは徹底的に売れませんから、お荷物在庫になることだけは避けねば。。。

よし!それならば中途半端な安物よりも、超高級ブランドで超カッコいい柄を仕入てみよう!ということになり。。。

で、仕入れるのはヨシムラでもビッグヴィジョンでも安定的な人気のある伊カンクリーニになりました。

同じプリント柄でも国産の物とはやっぱり雰囲気が違うんですよね〜

私が特に気に入ったのはこのスカル(骸骨)柄
柄が小さく見落としてしまいそうになりましたがこのユニークさ。たまりません!

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ン?なんか自分の好みで仕入れてしまいました?

どうぞお楽しみに
posted by オーダースーツのヨシムラ at 14:19| Comment(0) | 仕事(仕入) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月30日

春夏物ぞくぞくと・・・

大寒から受験シーズンが終わる2月上旬までが一年中で一番寒い時期ですが皆さんお元気でしょうか?

私はというと、こんな時期ですから外出の際にはありったけのコートを着回してフル活用しております。

それはさておき、こんな寒い時期ですが私共仕立屋・生地屋の世界では今は春夏物入荷のピークを迎えています。

今日もぞくぞくと生地の反物が入ってきました。
(昨年末ぐらいから、商品管理部門はず〜っとこんな感じです。)

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読者の皆さんはあまりご存じないと思いますが、反物が入荷しますとこんな感じに業務が流れます。

・反物の入荷
・サンプル帳掲載用の生地をカット → サンプル帳作成
・店頭用の1着分の生地をカット(1マークにつき15〜30着分
・バーコード作成
・店舗へ配布


この内のどの仕事も実はかなり手間の掛かる仕事で、これを毎シーズン人海戦術でこなしていきます。

私の場合、↑の仕事はしませんが、同時進行でホームページ用の画像撮影、説明文作り、Web原稿作りとこっちはこっちで大変な作業です。

こうして2月末頃には、店頭、ホームページ、サンプル帳それぞれに新柄の商品が出揃って、いざ春夏物スタート!となるのですが、今年はこの流れにちょっと困ったことが起きております。

それは・・・消費税引き上げ前の駆け込み需要 の存在

最近同業者の方や既製服業界の方のお話を伺うと、今年の春夏物は例年より1月以上早くスタートするとのこと。

私も、社内的には

今年の春夏物商戦は2〜3月が主戦場になる!

と皆に話しておりましたが、どうやらこれが業界全体でそんなムードになりそうなのです。
(つまり、どうせ春夏物を買うなら消費税引き上げ前に!ということです。)

そうなると、、、
商品はもっと早く投入しなければなりませんし、また工場の稼働状態を気にしなければなりません。

生地の準備として反物カットの手伝いをしながら、頭では3月の販促を考えているこの頃です。

あ〜っ、忙しい・・・140130-3.jpg

posted by オーダースーツのヨシムラ at 10:47| Comment(0) | 仕事(仕入) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月25日

1週間ご無沙汰でした。。。


先週1週間ブログの更新がなく、ご心配をお掛けしました。

どうしたの?と気にされてくださった方もいらしたようですので説明しますと、
実は先週は北京まで買い付け工場視察に行っておりました。

どんなことをしたか詳しくお話ししますと。。。

■ 生地の買い付け ■

>>> ビッグヴィジョンではお手頃価格ゾーンの中国縫製分の生地は中国製を使っておりますが、こちらの仕入れをして参りました。

簡単に仕入れとは言いますが、、、
実はかなり大変な作業でして、まず買うボリュームが凄い!!

お手頃ゾーンの商品だけで5万m

普通の人には50Kmの長さといった方が分かりやすいでしょうか?
スーツにして約16,000着分

これが1シーズンのボリュームです。

それを1つの色柄で1000m(=20反)とかのロットで買う訳ですからこっちも真剣になります。

次に凄いのは、色柄決め

これはヨシムラの方の影響からでしょうか、一般にスーツの販売店が生地を仕入れる時は、メーカーが作成したメーカーのフルコレクションを見ながら、その中から商品を選びます。

が、、、生地屋の吉村としては、与えられた物の中からだけで選ぶのは“良し”としません。

販売者側の要望として、こういった色柄が人気だ!とか、素材感はこう仕上げて欲しい!とかの要望があるのです。

これを言うのが本当に大変。
言うのは簡単ですが、お国事情で出来ないこともあります。
(例えば、水質の問題でグレイが綺麗にでないとか、一定の混紡率・目付だと関税が高くなるとか色んな問題が出ます。)

それを何とかクリアしながら商品を決めるのは結構大変な作業でこんな仕事をやってきました。

皆さんご存知の通り、中国は国内の人件費上昇、円安・元高が進んでいるためコストアップが今非常に厳しい状態です。
そんな中でもスケールメリットを生かして何とか少々幅を抑える努力をしてきました!


■ 工場視察 ■

>>> もひとつの大きな仕事は中国の縫製工場視察。
毎回中国出張の際は確認に行くのですが、今回は大きな目的がありました。

それは・・・

中国工場で始めた 新しい縫製ライン(通称Aライン)の確認


最近、中国側は人件費Up等のため、縫製の工賃引き上げを頻繁に要請してきています。(これはどこの縫製工場も同じと思います。)

ただ、日本側としては工賃が上がり、為替も円安になっては泣き面に蜂で、利益構成がおかしくなってしまいます。

そこで、どうしても工賃を上げて欲しいなら品質を上げてくれ!ということを言ったところ、中国側が従来より上級の縫製ラインを作ってくれました。
それがAラインなのです。

こちらの方は、通常は中国国内販売用に製品を作っているラインから、優秀な技術者を集めて作ったのですが、普段からSuper120'S〜150'S位の商品を縫っている技術者達だそうで、その製品を見てきました。

実物を見ると、、、正直なかなか良い!

これで色々な事が改善できるなら面白いと思いつつ、しかしながら工賃が上がり、為替も円安となると値上げをしなければやっていけない、、、
良い物は見せて貰ったけれどなかなか簡単に受け入れられる状況でなく、こちらは将来的な課題として、工場を後にしました。


最後に、、、半年ぶりに北京に行って来ましたが、日本でPM2.5のことが大々的に報じられていたのでマスクを大量に持参しましたが、誰もマスクをしていなかったのが印象的でした。
(→日本のTVで中国人がマスクしている映像が流れていますが、きっとあれはヤラセに違いない!)

一方で、朝、中国のカフェで朝食を取りながら外を見ていると、中国の若い女性達が随分綺麗に、あか抜けてきたのを痛感できました。
半年毎に定期的に出張するとその変化が良く分かります。

この国は絶えず変化し続けているんだなぁ、と改めて感じた北京出張でした。
posted by オーダースーツのヨシムラ at 20:00| Comment(0) | 仕事(仕入) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月18日

アランセーター

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読者の皆さんは、『ハリスツイードとアランセーター』って本、ご存知でしょうか?

マニアな本ですからご存じない方がほとんどだと思いますが、でも全日空の機内誌でこれに関する記事をご覧になった方はいらっしゃると思います。
(全日空の機内誌で採り上げた物をまとめて本にした物だからです。)

このハリスツイードとアランセーター

ハリスツイードは皆さんもよくご存知の通り、イギリスはスコットランド北西部に位置するハリス島・ルイス島でハンドウーブン(手織)で織り上げられた伝統的なツイード生地です。
最近は小物なんかにも利用され、大人気ですよね。
当社でも扱っていますが、毎シーズン結構な人気です。  131218-4.jpg


一方で、アランセーターの方はというと、こちらはちょっとマニアックになりますが、同じくアイルランド西部に位置するアラン諸島で手編みで編み上げたセーターのことを言います。

このアランセーターの特徴は、、、

柄が編む人(家)によって全く違うこと や
元々がフィッシャーマンズセーターですので防寒性に優れていること
独特のザックリしたローゲージの雰囲気


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これらがマニアの心を刺激して、最近注目されているアイテムです。

何でも、家によって編む柄が違うのは、フィッシャーマンズセーターとして利用される中、海難事故にあった際、セーターの柄をみてこれはどこの誰々だと分かるようにするためだとか。。。

洋曲でU2なんかが好きな人だと、U2のどこか寂しげな北アイルランドの雰囲気に、アランセーターを着て、ハリスのコートなんか着たら、さながらボノになってしまいそうです!


で、実はこれを来年ビッグヴィジョンのパイロット店舗で取り扱えないか?
今検討中なんです。

手編みで1つ1つに表情があって、何とも言えない風合いがある。。。
ビッグヴィジョンは基本はオーダースーツ店ですが、こんなセレクトショップ的なアイテムを取り扱うのも良いですよね。。。

ということで、アランセーター来年の冬、楽しみにしていて下さい。

ちなみにお値段は結構します。。。5万円前後...手編みですから...すみません...
posted by オーダースーツのヨシムラ at 11:38| Comment(0) | 仕事(仕入) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月27日

北京出張してきました。

ブログに新着情報がなく寂しく思われていた方もいらしたかも知れませんが、
(えっ?そう言ってるのは自分だけ?)
今週、私はずっと北京出張に出ておりました。

へ〜っ、北京と思われるかも知れませんが、ヨシムラの方では中国縫製は取り扱っていませんが、ビッグヴィジョンでは廉価な商品については中国縫製で仕立てています。
このため、縫製が中国なら生地の方も中国で手配するのが物流的にも適切ですから、今回はその仕入れのための出張でした。

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どれだけの量を仕入れるかというと、その量なんと!45,000m

そう45km分もの生地を仕入れているのです。

これでだいたい13,000〜14,000着分の長さですが、結構な量ですよね〜
自分でも売り切る自信がありません。(笑

それはさておき、読者の皆さんは中国で織った生地の実力はどれ位だと思いますか?

中国だからたいした事無いんだろう?やはり日本が一番さ!なんて思う方が殆どだと思います。

でも、意外や意外!実力はもう結構逆転している部分もあり、あなどれない存在だと思います。

ですから、ここでは中国の実力を皆さんに紹介しますと・・・

■ 中国製品の弱点 ■

日本の2−4万円位で販売される商品の中では正直あまり弱点はありません
ただ、強いて挙げるのでしたら、中国はコモディティー(汎用品)は強く、特殊な物には弱いところでしょうか?

つまり、大量に販売する物の色柄は全く問題なしです。

でも、ファッションは人と違った事をするのが楽しみでもあり、一般的でない素材や織りなどは数が揃わないからやらない(=できない)と言うことが多く、
当社の取引メーカーで言えば、夏物のモヘヤなどは嗜好品だから大量に売れないし、取り扱いが面倒だからやらない(=できない)となっています。

■ 中国製品の長所 ■

意外に思うかも知れませんが、廉価品の色柄については国産よりコストパフォーマンスが高いと思います。
・・・というのは、生地にはウール100%とは表記してあっても実際にはストライプ部分は発色の良いポリエステル原毛を使っているケースがあります。

こういったオールウールのポリエステル混紡の生地は、意図の収縮率の関係から中国製品は苦手です。

ではどうするか?というと、例えばウール70%、ポリエステル30%とかにして全体のウール量を減らし、ポリエステルの量を増やして物性的な安定を図ります。

そしてこれはコスト面ではウールの方が高いですからコストを下げつつ、綺麗な色柄の生地が出来て、こういったコストダウンは中国が一番得意ですから、概して安いスーツの色柄は意外と良いという結果につながるのです。

ちょっと分かりづらい説明でしたかねぇ?

■ 中国製品が?なところ ■

↑中国生地の長所短所を書きましたが、実は見落としがちなことで1つ重要なことが抜けています。
それは、、、日本人が持つ中国製品へのイメージがあると思います。

・・・というのは、実のところ今の中国では生地を織るという点に限定して言えば、最新の織機は日本よりも中国の方が数多くある訳ですから、生地を織るのは場合によっては日本より上です。

ですから、Super150'Sでも180'Sでも問題なく織れます。

ただ、問題は『どうせ中国製品は品質が悪い・・・』という日本人が持つ先入観が問題なのです。

つまり、「中国製品が?」なのは日本人が中国製品に持つイメージが“安かろう悪かろう”だから良い物を作っても売れない → だから作らないということが多いのです。

実際このことは、生地を織るという点ではまさしくその通りだと思います。

だって、自動織機で生地を織るときには人間が介在するのは糸を補充したり準備したりするところだけなんですから。
(その他には染色など水質が関係する点での差はありますが、最近は水質改善装置も大抵はありますからね。)

とはいえ、縫製の技術など人の手が入るところでは日本と中国には厳然とした技術格差があるのも事実で、この辺は皆さんの想像の通りですし、これはビッグヴィジョンだからブランドのどこどこだからといったことは余りないと思います。

まぁ、いろいろです。

いろんなことが大量に起こっているのが中国で、良い物をこだわり作っているのが日本。
良い物をこだわるのは美徳だけれど、数の論理には敵わないでしょ!というのが中国の論理なのです。

この日中の違いはどこの業界でも同じかも知れませんね。(笑

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画像は時間のあるときに寄った天安門(いつ行ってもデカイ!)
posted by オーダースーツのヨシムラ at 13:48| Comment(2) | 仕事(仕入) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする